日本のさつまいものルーツを探る!どうやって日本にやってきた?
- 2022/2/16
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意外と知られていない、さつまいもの原産国。
日本にはどこからどのようにやってきたのか、そのルーツをたどってみます。
ルーツは2説ある?
さつまいもの原産国は中南米とされており、栽培は紀元前1万年〜8000年前から始まったと言われています。
日本には約400年前に渡ってきた比較的新しいもので、1615年に長崎平戸で初めて栽培されたのがはじまりとされています。
栽培種のルーツは、「ペルー起源説」と「メキシコ起源説」があり、最近のDNA解析によれば、世界のさつまいもの栽培種はこの2つの起源に大別されるとも言われます。
ペルー起源説は、ペルー南部のチルカ谷遺構の中で紀元前1万年から8000年前の炭化したさつまいもが見つかったことから、現在はこちらの説が有力です。
一方のメキシコ起源説は、メキシコ側が野生種はペルーよりも豊富にあると主張しています。また、メキシコの山中にはまだ野生のさつまいもが存在しており、こちらの説も可能性があります。
つまり、今のところは、原産国についても、栽培種のルーツも中南米で発祥したのだろうと考えられています。
さつまいもの長い長い旅
中南米から世界へ広がっていった経路についても諸説あり、今でも世界各国で研究が続けられています。
伝播ルートは下記3つの可能性が考えられています。
・バタータス・ルート説
大航海時代16世紀にコロンブスが南米からヨーロッパに持ち込んだあと、アフリカ、インド、東南アジアへと広がっていった。
・カモテ・ルート説
メキシコ太平洋岸のアカプルコからスペイン人がハワイやフィリピンに持ち込み、東南アジアへと広がっていった。
・クマラ・ルート説
ポリネシア人中南米からマルケサス諸島を中継して東南アジア、ハワイ諸島、ニュージーランドと太平洋一帯に広がっていった。
およそ1万年かけて世界を旅してきたさつまいもですが、実際にどのルートを通って東アジアに入ってきたのかは、まだ解明されていません。
さつまいもの遺伝資源が豊富なフィリピン
先ほどの3つの伝播ルートが交わっているのがフィリピンです。
フィリピンの山岳地帯に住む少数民族では、古くから焼畑によるさつまいも栽培が行われており、大事な食糧とされています。
現地の言葉でさつまいもは「カモテ」と呼ばれ、紫いもは特に「ウベ」と呼んで区別し、スイーツなどに加工しています。
3つの伝播ルートが交わることからさつまいも伝播の「三叉路」と言われており、多くの遺伝資源が存在しています。
どのルートをたどってフィリピンへ渡ったのかは、まだ明らかになっていませんが、フィリピンからは、以下の経路をたどって日本へやってきたとされています。
1594年 フィリピンのルソン島から中国南部の福建省へ
1605年 中国福建省から琉球へ
1697年 琉球から種子島へ
1705年 鹿児島の薩摩半島へ
冒頭で、1615年に長崎平戸で初めて栽培されたというのは、当時、平戸英国商館長として平戸に在任していたリチャード・コックスが、琉球から持ってきたさつまいもを栽培した記録が残っているためです。
話はそれますが、鹿児島県で発見された「山川紫」という紫系の品種は、えぐみがあってとても食べられないそうですが、なんのためにこの品種が日本に持ち込まれたのかは全くの謎らしいのです。
このように、さつまいもの伝播にはまだたくさんの謎があることがわかりました。
ペルーやメキシコを原産国として、長い旅をしてきたさつまいもは、フィリピン、中国を経由して日本へやってきたのですね。
今後、日本や世界の研究者によって、伝播の歴史が紐解かれていくのかもしれませんね!
主要参考文献
「サツマイモの変遷――野生種から近代品種まで」塩谷 格、法政大学出版局、2006年
「焼きいもが、好き!」日本いも類研究会 焼きいも研究チーム編集、農文協、2015年
「サツマイモの世界 世界のサツマイモーー新たな食文化のはじまり」山川 理、現代書館、2017年
<ライタープロフィール>
RENA 青森県出身。農学系大学を卒業後、種苗会社、農業ベンチャーを経て現在はフリーとして農業や食に関わる企画や運営、各種サポートを中心に活動中。
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