世界のさつまいも事情 外国人もさつまいもがお好き?

日本では、近年人気が高まっているさつまいも。
食事やおやつ、加工品もとても美味しいですよね!
では、世界にはどんなさつまいもがあって、どのくらい食べられているのでしょうか?
今回は、世界のさつまいも事情を調査しました!

世界の食糧生産量とさつまいも

世界の食糧生産量で最も重要なのはコムギやイネといった穀物ですが、穀物に次ぐ生産量はいも類です。
さつまいもは中南米が原産のため、温暖な気候を好みます。栽培期間の適温は20~35℃と高めなので、気温が高いアフリカやインド、東南アジアで多く栽培されています。

さつまいもの生産量の半分以上は中国で、日本は17位となっています。
さらに、世界の生産量の約9割がアジアであることがわかります。

順位 Area Value(t) 構成比(%)
1 China 51,992,156 56.5%
2 Malawi 5,908,989 6.4%
3 Nigeria 4,145,488 4.5%
4 United Republic of Tanzania 3,921,590 4.3%
5 Uganda 1,949,476 2.1%
6 Indonesia 1,806,339 2.0%
7 Ethiopia 1,755,855 1.9%
8 Angola 1,680,146 1.8%
9 United States of America 1,450,250 1.6%
10 Viet Nam 1,402,350 1.5%
11 Rwanda 1,247,584 1.4%
12 India 1,156,000 1.3%
13 Madagascar 1,113,142 1.2%
14 Burundi 1,023,458 1.1%
15 Kenya 893,656 1.0%
16 Brazil 805,412 0.9%
17 Japan 748,700 0.8%
18 Papua New Guinea 743,735 0.8%
19 Democratic People’s Republic of Korea 561,796 0.6%
20 Cuba 555,078 0.6%
その他 7,157,772 7.8%
合計 92,018,972 100.0%

出典:FAOSTAT (Crops>ITEMS:Sweet potatoes、ELEMENTS: Production quantity)より作成

また、いも類はかなりの量が年間を通じて自家消費されており、家庭菜園のため統計には数字が出てきません。そのため、データでは見えない消費も存在しています。

特に、亜熱帯・熱帯圏諸国でよく食べられていて、とくにアフリカ諸国やパプアニューギニアでは、一人当たりの年間消費量が最も多いとされています。

さつまいも好きな国々といろいろな食べ方

日本ではほくほく系からねっとり系、色も様々なものがあります。最も消費量が多いのは、昔ながらの中が黄色いさつまいもです。

ところがアメリカでは、オレンジ系のさつまいもが人気になっており、水分が多めで加熱するととろとろになるものが主流。栽培面積の95%がオレンジ系さつまいもと言われ、特に栽培面積が大きいのは「Beauregard(ボールガード)」という品種です。

台湾では、黄色・オレンジ・紫といったカラフルなさつまいもがあり、なかでももっちりとした食感の「台農57號」という黄色系品種が一番人気で、一年中焼き芋や蒸し芋が売られています。

ベトナムでは、さつまいもの葉を好んで食べる文化があり、炒め物などにすると美味しいのだそう。韓国でも葉柄をキムチにして食べる文化があります。

実は日本にも茎葉を食べる専用の「すいおう」という品種が存在します。筆者も栽培姿を観察したことがありますが、いもが付かないので葉が大きく茂ります。

さらに、日本だけに存在する珍しいものとして、「ナエシラズ(農林32号)」などの播種用品種があります。

また、パプアニューギニアの高地では伝統的にさつまいもばかり食べている民族もおり、朝昼夜、20種類ものさつまいもを食べ分けているそうです。

世界では、地域ごとに好まれる種類が異なり、日本・中国・韓国など東アジアでは黄色系、中南米やアメリカではオレンジ系、南太平洋や東南アジアでは紫系がポピュラーです。

マダガスカルでは貧しさのためにさつまいもの消費量が多く、食味が好まれる以外の理由でも栄養価に優れたさつまいもは世界中で食べられています。

世界では、アジア、オセアニア、アフリカ、中南米、北米、欧州の一部など113カ国で栽培されていると言われています。

海外へ行く機会や外国の方とお話する機会があれば、さつまいもをテーマに色や形、食べ方などについてお話してみるのも楽しそうです。

主要参考文献

「サツマイモの変遷――野生種から近代品種まで」塩谷 格、法政大学出版局、2006年
「焼きいもが、好き!」日本いも類研究会 焼きいも研究チーム編集、農文協、2015年
「サツマイモの世界 世界のサツマイモーー新たな食文化のはじまり」山川 理、現代書館、2017年
「令和2年度いも・でん粉に関する資料」農林水産省ホームページ
「FAOSTAT」統計データ

<ライタープロフィール>

RENA 青森県出身。農学系大学を卒業後、種苗会社、農業ベンチャーを経て現在はフリーとして農業や食に関わる企画や運営、各種サポートを中心に活動中。

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