さつまいもでつなぐ、人と世界と未来!さつまいもオタク 橋本 亜友樹さんインタビュー(前編) ■Sweetpotato Interview vol.6

さつまいもカンパニー(株)代表取締役 橋本 亜友樹

1978年、兵庫県尼崎市生まれ。千葉県柏市在住。妻と娘の三人家族。
神戸大学大学院自然科学研究科修士課程植物資源学専攻修了。グロービス経営大学院大学経営学修了。
日本ヒューレット・パッカードにてシステムエンジニアとしてキャリアをスタート。
その後、アビームコンサルティングにてITコンサルタントとして勤務した後、 2012年6月に「ITで農業を支援する」をミッションに起業。
2015年8月にさつまいもカンパニー株式会社を設立、2019年8月に一般社団法人さつまいもアンバサダー協会を設立し、それぞれ代表に就任。

詳細な経歴や活動実績については、さつまいもオタク 橋本亜友樹 のサイトをご覧ください。

「なぜサツマイモなんですか?」

「なぜサツマイモなんですか?」

打ち合わせや取材を受けていて一番よく聞かれる質問である。しかし、いつもどう答えようか考えてしまう。というのは、どこから話すべきか、時間がいくらでもあれば良いのだが、たいていは長々と話す時間はない。どう話せばよいのか、相手の世代や知識によって理解も変わってくるだろう。簡単には伝えられない。ということで、私とサツマイモの関わりについて、まだ早い気もするが、半生を振り返りながら書くことで、最初の質問に答えたいと思う。

私も最初からサツマイモというわけではない。どちらかというと農業そのものに対する関心が高かった。そのきっかけは3つある。

農業へ関心 3つのきっかけ

一つ目が、幼稚園や小学校低学年の頃だが、祖父に連れられてよく行っていた家庭菜園である。祖父が住んでいた家と自分たちが住んでいた家の中間ぐらいに市民農園があった。同じ町内だったので移動は自転車である。市民農園はどこでもそうだと思うが、小さな区画にいろいろな種類の野菜を育てる。どんな野菜を育てていたかは忘れてしまったが、祖父からは苗の植え方、肥料のやり方などを教わった記憶がある。植物を育てて食べるという楽しさや面白さをこの時に感じ、これが原点になっているように思う。

二つ目が、つくば万博と大阪花博である。1985年に開催されたつくば万博には実際に行ったわけではないが、TVで大きく育った「トマトの木」が紹介されていて、それをみて植物の可能性とそれを引き出す科学の力をすごいと思った。その後、1990年に開催された大阪花博には実際に行って、そこで展示されていたバイオテクノロジー技術(組織培養)をみて、自分も将来こういう研究をするんだと強く思った。植物やそれを引き出す技術に関心を持つきっかけとなった。

トマトの木 身近な植物でも大きなポテンシャルをもち、適切に管理することで引き出せる

食糧危機への関心と「尼いも」

三つ目は小学校高学年頃から盛んにメディアなどで取り上げられていた環境破壊(酸性雨やオゾンホール破壊)、砂漠化、食糧危機といった社会問題である。酸性雨でボロボロになった森林などがTVや本で紹介され、当時の自分にはかなり衝撃的な内容であった。この中で、食糧危機に一番関心を抱き、図書館などで関係する本を読んだ結果、サツマイモが江戸時代や戦時中に救荒作物として栽培されていたことを知り、サツマイモの研究をしてみたいと思うようになった。

少し付け加えると、私は兵庫県尼崎市出身だが、尼崎には「尼いも」というサツマイモの伝統野菜があることを当時何かで目にして、そういう地場のものを研究してみるのも良いなと思った記憶がある。

神戸大学農学部入学

そんなわけで、大学は農学部を目指すことに決め、神戸大学農学部に入学した。

大学時代はバイトや遊びで出席日数が足りなくて単位を落とすこともあったが、専門科目や実験、農場実習にはきちんと参加して真面目にやっていたと思う。植物育種学の研究室に所属することになり、そこでサツマイモの研究ができたわけではないが、研究者の道に進もうと大学院にも進学した。(私自身の不勉強を恥じるところだが、研究対象は自分で決められるものだと思っていた。ただ、この時にサツマイモを研究しなかったのが、今となっては良かったと思っている。)

研究室クリーンベンチ前 メロンの葯培養の研究。海外留学生とともに。

一方、大学に入学すると同時にパソコンを購入し、独学でホームページを作ったり簡単なプログラムを書いてみたり、パソコンを自作したりと、IT分野にも非常に関心を持っていた。大学生時代に、携帯電話を持つことや電子メールでのやり取りが当たり前になり、様々なインターネットサービスが出てきた。いわゆるIT革命がおきた時期であった。

大学4年生の後半から将来について考えるようになる。もともと食糧問題に関心をもって農学部に入学し、青年海外協力隊の説明会にも行ったりして、自分にできることは何かと模索していたが、農学研究者の道の先にそれが見えなかった。そんな中、大学の卒業旅行で初めて海外(スペイン)に行き、現地のインターネットカフェで日本にいる友人とメールで何回かやり取りすることを経験し、これは世界を繋ぐ、世界を変えていく技術だろうなと確信し、IT系企業に就職して、その道に進むことに決めた。

また、当時からいつかは起業するつもりだったので、何か事業をおこすにあたっては、ITがベースになっていくだろうから、自分の将来のために、勉強させてもらいに会社に入ろうという考えがあった。

システムエンジニアとして日本ヒューレット・パッカードへ

最初に入社したのは日本ヒューレット・パッカードという会社だった。実は、内定をもらったのはコンパックコンピュータという会社だったが、内定時代にアメリカ本社が合併を決め(当時のIT企業世界第2位と3位)、入社してすぐに社名が変わるという経験をした。ここではシステムエンジニアとして、主にノンバンク系のインターネット会員サービスの構築に関わった。最初の3年間は大阪・京都で、その後、東京に異動して3年間、合わせて6年間勤めた。プログラミングからインフラやネットワークの構築など、システムエンジニアとしては一通りの業務を経験させてもらったし、難易度の高い仕事を任せてもらっていた。

5年目あたりの時、会社員生活ももう良いかと脱サラしてカフェ経営をすることを考え、カフェスクールに通ったり、ビジネスプランコンテストに出るために、カフェ経営とは別に農業系のビジネスプランを考えたりしていた。ただ、結局、この時は独立することは諦めて、別の会社に転職することにした。

クリス

カフェスクール クリスマスイブに表参道のレンタルカフェスペースを借りて1日店舗運営体験。

マスイブに表参道のレンタルクリスマスイブに表参道のレンタルカフェスペースを借りて1日店舗運営体験。カフェスペーもに。

アビームコンサルティングとグロービス経営大学院での学び

次に入ったのがアビームコンサルティングという会社だった。ここではITコンサルタントとして、クライアントの会社合併に伴う業務システムの移行、その後の業務システムの改善や運用・保守を担当した。クライアントの業務改善や会計に関わる中で、もっとビジネス全体の知識をつけたいと思うようになり、グロービス経営大学院というビジネススクールに通うことを決める。そして、このことが転機となる。

当時は今の会社で上を目指していけば良いと、ビジネススクールに通うのも、キャリアアップを考えてのことであった。ただ、グロービス経営大学院では、「志」を大事にしていて、改めて自分の人生の目標と向き合うことになる。また、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、このまま会社員を続けることにも疑問を抱き始めてもいた。グロービス経営大学院に単科生として通う中で、やはりやりたいことをしよう、農業に関わっていこうと決心し、2012年3月末に会社を退職、2012年4月からグロービス経営大学院に入学する。

グロービス経営大学院卒業時の写真 2012年に入学。3年間通学して、2015年に卒業。

実はこの時点では「農業×IT」で何かやろうということだけで、具体的な事業はまったくのノープランであった。

(後編に続く)

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