近年、焼き芋や芋けんぴブームで様々なブランドが出てきているさつまいも。
専門店やスーパーでも様々な品種が売られていて、どれを購入するか迷ってしまいますよね。

ブログ等でもよく紹介されているのを見かけますが、品種名とブランド名を混同して記載されている事例が散見されるので、今回は、ブランドさつまいもについて解説していきます。

知られざるさつまいもの品種数

さつまいもの学名はIpomoea batatas（イポモエア・バタタス）といい、農林水産省の品種登録データベースで検索すると、116品種が登録されています（2021年12月現在）。

日本では野生種まで含めると約1600品種ほど、世界全体では2000〜3000品種ほどが遺伝子として保存されていると言われています。

いろいろある「○○金時」

ブランドさつまいもと聞いて「○○金時」と、名前が浮かぶ方も多いのではないでしょうか？
鳴門金時・坂出金時・五郎島金時・とみつ金時など、「金時」と名のつくさつまいもはたくさんあります。

上記のブランドさつまいもは、1945年に高知県の農事試験場で選抜育成された「高系14号」そのもの、またはその派生品種です。
高系14号は適応力が高く、各地でその土地に適した派生系統が選抜され、地域ブランドとして名称が付けられています。

（高系14号またはその派生品種の例）

昔ながらの品種ですが、ややほくほく感もあるしっとり系さつまいもとして、今でも人気のある高系14号。地域ブランドを食べ比べすれば、あなたの好みのタイプが見つかるかもしれません。

同じ品種の独自ブランド例

先ほどの高系14号のほかにも、地域やJA、企業などが独自に名称を付けてブランド化しているものもあります。一部をご紹介します。

＜ベニアズマ;品種登録1984年＞

＜べにはるか;品種登録2007年＞

ほかにも、ブランド名のある品種が多数あります。
・めんげ芋（福島県）／品種名：シルクスイート
・アメリカ芋（東京都）／品種名：七福
・なんたん蜜姫（和歌山県）／品種名：サイパン
・安納いも（鹿児島県）／品種名：安納紅、安納こがね
など

さつまいもを選ぶときに品種名が何かを知っていれば、選択するときの基準の1つにできるでしょう。
もちろん、同じ品種でも独自の栽培方法や保存方法で感動するほど美味しいさつまいもがたくさんあります！

今では冷めても美味しいさつまいも品種も多数あり、寒い時期だけでなく、一年中さつまいもを楽しむことができます。
ぜひ、あなたのお気に入りブランドを見つけてみてはいかがでしょうか？

主要参考文献
「焼きいもが、好き！」日本いも類研究会 焼きいも研究チーム編集、農文協、2015年
「サツマイモの世界　世界のサツマイモーー新たな食文化のはじまり」山川 理、現代書館、2017年

＜ライタープロフィール＞

RENA　青森県出身。農学系大学を卒業後、種苗会社、農業ベンチャーを経て現在はフリーとして農業や食に関わる企画や運営、各種サポートを中心に活動中。