芋名月と栗名月
- 2022/12/21
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十五夜とは旧暦8月15日の夜のこと。古典『竹取物語』で、かぐや姫が月に昇ったのも十五夜のことでした。この夜の月はとても美しく、「中秋の名月」と呼ばれ、昔からお月見がなされてきました。お月見は収穫祭の一面もあり、団子、酒、芒(すすき)、農作物(芋類・栗・枝豆)などがお供えされました。十五夜には芋(里芋・甘藷)を供えることから「芋名月」とも呼ばれます。これに対して栗を供えるのが、旧暦9月13日の十三夜です。十三夜の月も美しく、「栗名月」と呼ばれます。
川越の喜多院には松尾芭蕉(1644~1694)の句碑があります。石碑の上部に満月を模したような穴が穿たれています。中島孝昌の『武蔵三芳野名勝図会(』享和元年成立)によれば、この石碑は寛政3年(1791)8月15日に江戸の狂歌師白川与不祢によって建立されたそうです。句碑の挿絵には与不祢らの詩が添えられ、その中には其馨(きけい/中島孝昌の俳号)の名もみえます。
寛政三年(一七九一)辛亥
秋八月十五日、碑成りて仙波天女祠の傍らに建つ。
三芳野の里の莫逆の友、その橐装を出だして以て費を助くと云ふ。
与不祢識。
*莫逆(ばくげき)、親密な間柄。
*橐装(たくそう)、橐中装のこと。金銀珠玉の類。
『プチ川越歴史文化001号(白松堂)』より
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